破損の要因のうち塑性変形と破断については過荷重で破損します。
破損に至る過程について代表的な現象を説明します。
過荷重による破損については次の2つの説がある。
最大主応力説
多軸応力における3主応力のうち、最大のものが材料の1軸応力下の破損強度に達したら破損する説。この説は脆性材の破断に対して実験結果をよく説明する。
最大せん断応力説
多軸応力下の最大せん断応力が1軸応力下のせん断強度に達すると破損が生じるとする説。この説は延性材の塑性破損強度の実験結果をよく説明する。
降伏あるいは引張強さと比較して1/2程度の大きさの応力でも繰返し作用させると、ある繰返し回数の後に材料が破断する。この現象を疲労という。
図1.は繰返し作用する応力振幅と破断に至る繰返し回数を示したもので、S-N線図と呼ばれている。ある限度の応力振幅以下の場合、鉄鋼材では無限の繰返しに耐える。この限界を疲労限度という。
高温の下で材料に一定応力を負荷する状態を長時間保持すると、材料の変形が時間とともに進行し破断に至る。この現象をクリープと呼び、図2.のクリープ曲線で表される。
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