Post date: Apr 9, 2017 3:25:08 PM
1. はじめに
経営者の方々から三次元CADの導入について相談を受けます。
どんな相談が多いと思われますか?
導入費用でしょうか?
それとも、年間のライセンス料でしょうか?
導入後の社員教育でしょうか?
実は三次元CADが、会社の身の丈に合っているかなんです。
実際にお話の中で伺う質問は、こんな感じです。
『支援機関やコンサルタントから三次元CADを進められるけど、本当を入れた方がいいのかな? 事業内容から考えても二次元CADで充分な気がするけど…。 』
導入費用や導入後の社員教育は、事業計画を達成するために検討されるものであって、あまり課題として考えている経営者はいません。
そこで、これまでの相談内容をもとに、三次元CADの選択について基本的な考え方をまとめてみました。
2. 三次元CADで何するの?
最初に聞くことは、会社の事業内容や解決したい経営課題や問題点です。
いきなり三次元CADの話はしません。
話を聞きながら、次のようなことを考えます。
自分が技術系の担当だったら、どんなツールを選ぶだろうか?
念のために、以下のようなことを確認します。
部品形状を三次元CADでモデリングしなければダメなの ?
二次元の平面図のDXFデータだけではダメなの ?
事業の拡大は、生産量の拡大 ? それとも、品種の拡大 ?
取引先から送られてくる図面は三次元データ ?
それとも三面図に展開した形状寸法図 ?
などについても、当社の社内システム図などをお見せしながら確認します。
3. 三次元CAD導入に熱心なのは…
実は三次元CAD導入に一生懸命なのは、支援機関のコーディネータの皆さんだったり、経営指導をお願いしている先生だったりします。
三次元CADを薦める理由として、以下のように考えておられるようです。
『三次元CAD』の方が機能が豊富であり、ソフトウエアの能力に合わせて社員教育も進めば事業拡大も楽にできる。
今の経営課題は『二次元CAD』でも解決できるかもしれない。
でも、この先『三次元CAD』が必要になるかもしれない。
相談者へ『二次元CADで十分です。』と、最終的な回答をお伝えしているとき、このような理由でアドバイザーとして同席されている先生方が割って入ってこられます。
相談者は納得しておられるのですが、コーディネータや経営指導をなさる先生方が様々な疑問をぶつけてこられます。
先生方の質問にお答えした後、将来も含めた業務内容で利用する三次元CAD機能が、すべての機能を10とした場合、どの程度なのかをその場で見積ります。
利用する機能が7~8割を超える場合には『三次元CAD』を導入を促しますが、5割を下回るような場合には利用者の経費負担が大きくなるため再考を促します。
4. CADデータ保存のクラウド利用
最近のデータ通信環境は非常によくなりました。
SIMフリーのタブレットPCやAndroid PCなどを使えば、どこにいてもインターネットに接続することができます。
一方、製品の寸法形状や加工方法を明示するCADデータは、自然災害によるデータ消失や人為的なデータ漏洩などのリスク回避を考えながら一元管理することが求めらています。
そこで当社ではマイクロソフト(株)のクラウドサービスを利用し、CADデータをクラウド上に保存し、経費負担を抑えながらリスク回避をはかっています。
設計データのクラウド保存とモバイル利用
刃金からくり屋の道具 (CAD/CAM/CAEなどによる製品開発環境)
ここまで伺った内容から、三次元CADの導入について判断します。
このような相談を受ける場合、ほとんどの経営者の皆さんは答えを持っています。
『三次元CADで仕事をしている専門家のあなたから見て、
この事業の推進に三次元CADは必要ないよね?』
つまり、三次元CADは身の丈に合っていないことは理解しておられます。
実は相談と言いながら、コーディネータや経営指導して下さる先生に対し、相談者に代わり三次元CADが不要であることを説明することが仕事になります。
4. おわりに
三次元CADはコンピュータの中に三次元形状のデータを作成する道具です。
形状が複雑で複合加工機などで加工するためCAMデータが必要となる場合、導入した方が効果が高いです。
一方、ワイヤーカットや平面的な単純加工で製作できるような製品の場合、2次元CADでも効果があります。
また、三次元CADが二次元CADの機能を兼ねることはありません。
三次元CADの製図機能は、モデリングした三次元データを投影図として展開しているだけであり、二次元CADほど製図機能が充実しているわけではありません。
したがって、大は小を兼ねません。
CADの導入にお困りの場合、『お問い合わせ』を通じてご連絡下さい。