Post date: Jul 26, 2016 8:36:20 AM
1. 経緯
当店には熱電変換素子の材料を開発されているお客様がおられます。
熱電変換素子とは、2種類の異なる金属または半導体を接合したものです。
この熱電変換素子の両端に温度差を生じさせると電圧が生じ電子が流れるようになります。
こちらのお客様からの要望は、以下のようなものでした。
設計条件を元に熱電変換素子内部の温度分布を予測できるようにしたい。
時間とともに両端に生じる温度差が変化する場合、その変化に伴う内部の温度分布も予測したい。
お客様の方でもプログラムのコードが見えるようにしたい。
2. お客様との打合せ
お客様で使用されている三次元CADには、熱伝導シミュレーションが可能なソフトウエアが含まれていました。
当初は、このソフトウエアの使用を提案しましたが、以下の理由からプログラムを作成することになりました。
時間変化に対する予測ができない
熱伝導の基礎方程式とプログラミングに展開したアルゴリズムを明示してほしい。
3. プログラミングへの展開
熱伝導の基礎方程式を体積力法で展開し、計算プログラムを作成しました。
5. 作成したプログラムによる計算結果
以下に理論式と比較した結果を示します。
理論式(一次元モデル)とプログラム(二次元モデル)によって得られた結果は、概ね一致しておりました。
また、内部の温度分布についても、計算して得られた結果を示します。
なお、検証用に比較した材料は一般的に知られている材質を用いております。
6. 時間変化に対する計算結果
時間変化に対しては基礎方程式に時間項が入ります。
ここでは、その部分の説明は省略します。
プログラムで計算した結果については、以下の動画にまとめました。
4. シミュレーションモデルと予測結果
熱電変換素子を体積力法が適用できるように、下図に示されるような要素分割からモデルを作成した。
7. 使用したプログラミング・ツール
今回、プログラミングに使用したツール(開発環境)はscilabを選択しました。
matlabとも互換性が高いツールです。
当店では、scilabの開発元が作成したビギナー用テキストを日本語に翻訳し販売しております。
ご興味がありましたら、お問い合わせフォームからお願いいたします。