機械設計の力学(材料力学、機械力学の基礎コース)のテキスト作成

Post date: Aug 23, 2016 6:53:36 AM

1. はじめに

昨年より、静岡県内の技術系専門学校のCADコースで機械設計の力学を教えています。

内容は材料力学と機械力学の基礎的な事です。

以下は、専門学校の先生から伺った話です。

2. 専門学校の戦略

専門学校のCADコースでは、CADのオペレーターを育成しています。

実力をアピールするためCAD検定の1級取得や三次元CAD検定の合格を目指しています。

実際に、その専門学校では全て学生が受験し、ほとんどの学生はどちらの検定試験も合格しています。

一方、就職する企業で設計要件(製品仕様)が異なることや機械工学を教えても検定試験のような評価基準もないため、学校としては力が入りづらい部分でした。

そのため学校の戦略としては、オペレーターとして採用してもらい、その能力を採用先の企業で活かしながら固有の設計技術を学び活躍してもらうことでした。

3. 企業からの要望

そのような状況のなか、ある企業の採用担当者から『CADは使えるけど設計ができない』とお叱りを受けたそうです。

『オペレーターとしての役割からステップアップして…』という学校の戦略が崩されてしまったわけです。

採用担当者の話を聞くと、以下のような事だったそうです。

  • 採用した新卒社員が現場のイロハを知らない。(機械工学の常識的な知識がない。)

  • 通常の仕事をこなす社員しかおらず、新卒社員の教育に時間を割けない。

  • 新卒社員を教育する教材もなく、長い間、採用していなかったので教え方が分からない。

この採用担当者が結論的に、以下のようなことをおっしゃったそうです。

『CADの操作を教育するのなら、データ作成(モデリング)の教育過程の中で強度計算やシミュレーション操作などの基本的な教育も取り入れて欲しい。』

4. 昨年の授業の状況

機械分野の技術士で材料力学を主な専門領域としていること。

そして仕事で三次元CADを用いて機械設計や強度計算をしていることから声を掛けて頂きました。

昨年の実績では、数学や物理分野で基礎的な項目が抜けている学生が多くいました。

その中には断面積の計算ができず、応力計算が困難な学生もいました。

また工業高校や高専などで用いられている教科書を選択しました。

しかし、専門用語に馴染めない学生が多く教科書の内容を理解できない状況でした。

5. 機械設計の力学(材料力学、機械力学の基礎コース)

そのような状況を考慮し、本年は『機械設計の力学』としてテキストを作成することにしました。

また、内容としては秘密にする理由もないので『からくり屋の知恵』の中で公開することにしました。

ただし公開はパソコンなどでの閲覧のみとしています。

印刷やテキスト内の画像や文章はコピーできません。

基礎的な設計能力があれば、解答がなくても解ける問題です。腕試しだと思って頑張って見てください。

(2018年5月21日 追記)

現在、専門学校の授業で使用しておりますが、公開は控えさせていただいております。

取扱注意の部分もあります。

正しく使い方を知らない状況で、無責任に情報のみを公開することはできません。

ご質問があれば、お問合せフォームよりご連絡ください。

6. 公開テキストの販売と出張講義について

演習問題の解答付で電子ファイルとして販売できるように準備しています。

予定は9月末頃です。

お客様の会社に出向いて公開テキストを使った講義の開催も承ります。

回数を分けて全12回の内容をおこなったり、一部の回に限定したりと柔軟に対応いたします。

お手数ですが、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。

多数のお問い合わせ、お待ちしております。

第一回のテキスト (1ページ目)

7. 公開テキスト (テキスト)

  • 第一回 機械設計の力学で必要な数学・物理の復習

  • 有効数字、SI単位系、断面積、三角関数、微分、積分、ベクトルなどの演習

  • 第二回 機械工学の概要と技術者倫理、設計要件(仕様)の作成について

  • 部品に作用する力について(内力、外力、力のモーメントの演習)

  • 第三回 引張試験と試験結果の読み方

  • 強度設計に必要な縦弾性係数や降伏応力などについて引張試験の話から説明しています

  • 第四回 強度判定基準と判定方法

  • 強度設計のポイントとなる判定基準や関連する法令などについて説明しています

  • 第五回 単純応力について

  • 引張、圧縮応力、せん断応力、熱応力、応力集中などについて説明と演習を行います。

  • 第六回 梁・フレーム構造の種類と特徴

  • 梁の強度検討時に出てくる基礎的な用語や記号の意味を説明し、反力などの求め方を演習いたします。

  • 第七回 梁に作用するせん断力と曲げモーメントについて

  • 梁に作用するせん断力と曲げモーメントの求め方と、それぞれの線図の描き方を説明します。

  • また、それぞれの線図は梁の内力の状態を表わすことを理解します。

  • 第八回 断面二次モーメントと梁に生じる曲げ応力の計算

  • はりに生じる曲げモーメントによる曲げ応力について説明し、演習を通じて理解します。

  • 以下、作成中。

  • 第九回 梁·の強度とたわみ計算

  • 第十回 ねじり強度

  • 第十一回 FEMシュミレーションの概要(モデルの作成や必要なデータの準備)

  • 第十二回 FEM趣味レーションの計算精度の検証方法およびモデリングのコツ