Post date: Nov 30, 2017 7:23:07 AM
1. はじめに
2017年5月30日より同年12月31日までの期間で、製品開発の技術的な支援を行う契約を締結し、月に1週間(実働5日)の頻度で行ってきました。
製品に関する具体的なことは公開出来ませんが、どのような技術的支援を行ってきたかについて紹介いたします。
2. 開発のデジタル化に関する支援
日本と同様に韓国においても開発のデジタル化は、以下の様な観点から経営上の課題として取組みが進んでおります。
開発力の向上
設計ツールの三次元化による多角的な検討
シミュレーションによる設計検討の充実化
設計者の思い込みや勘違いをデータ上で修正
業務効率の改善
試作回数削減による修正費用の削減
開発期間短縮による研究開発費の低減
少子化により不足する専門スタッフの生産性向上
3. 日本の状況
日本の場合、三次元CADによる製品開発の取組み事例として、以下のような業界の動向がありました。
航空機業界 B777の開発プロジェクト (1989年~1994年)
歴史上、三次元CADを使って開発された最初の工業製品
日本とアメリカの時差を利用した二極開発プロジェクトとしても知られている。
自動車業界 開発期間短縮化(試作レス)プロジェクト (1994年~1998年)
三次元CADを利用した自動車開発で、シミュレーションにより試作回数の減らし開発期間を従来の半分に短縮しようと試みたプロジェクト。
このような状況から、日本国内には実務や管理におけるデジタル化のノウハウや経験を持った人材が多数お見えになります。
また、コンピュータの利用環境も整うと共に、CADソフトの価格も低減化されてきました。
小規模事業者の中でも三次元,CADを当たり前のように使えるような状況です。
そのような背景から、三次元CADによる製品開発に関して、日本は比較的多くの知見を持つ国の一つであると言えます。
4. 韓国の状況
これまで、数社の中小企業経営者にお会いいたしました。
彼らは開発や生産工程の効率を高めるための道具として製品開発のデジタル化について熱望されていました。
その背景には、ツールを導入し経験者の力を借りれば、直ちに新商品開発が可能になる期待感があったからです。
5. 支援先企業について
今回の支援先企業はNC装置の開発・販売を主業務としており、自社のNC装置を応用した製品開発として3Dプリンター装置の開発に取組んでおられる企業でした。
主業務の中心がNC装置の開発だったこともあり、強度設計の経験が乏しく、装置の大型化に困っていたところ、日韓両国政府の取り決めに基づく経済協力支援の枠組みを利用し、今回のマッチングに至った次第です。
技術研究所の入口
6. 支援内容
支援内容としては、競合他社が出願している特許などの分析や、大型化に伴う装置の機構発案などを指導し、考え方や必要な作業などを理解してもらいます。
そのあと、構想案を元に概念的な機構設計とシミュレーション結果を利用した強度計算を行い、基本設計までの流れについて支援してきました。
7. 今後について
まだ、基本設計から詳細設計までの過程が残っており、継続的な支援要請をいただいております。経済協力支援の枠組みの中で可能な方法を検討している所です。
このような製品開発などでお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりお問い合わせ下さい。