せん断力によって部品に生じる内力をせん断応力と呼びます。
右図に示されるボルトの軸方向に対し、直角方向に外力としてせん断力が作用する状況を考えます。
単位面積当たりに作用するせん断力を計算するため、せん断力をボルトの断面積で割ります。
以下の式によって求められる値がせん断応力です。
3本のボルトで固定した継手がある。(図参照)
この継手に引張荷重P=120. kNを加えたとき、ボルトに作用するせん断応力を求めなさい。
ただしボルトの直径 d = 20.0 mmとし3本のボルトには均等に荷重が加わるものとします。
また、せん断部はネジ部にかからないものとします。
はじめにボルトの断面積を求めます。 (π × 20.0**2) ÷ 4 = 314. (mm**2)
ボルト1本に対し、せん断力が作用する断面は2か所ある。
(図参照 矢印<赤色>にて示される場所)
せん断応力は ( ボルト3本 × 2箇所 = ) 6か所で生じている。
以上のことからせん断応力は以下の式ように計算される。
よって、せん断応力は 63.7 MPa
※有効数字は3桁なので、解答は上位から4桁目を四捨五入して3桁にする。
せん断力によって生じるひずみをせん断ひずみと呼びます。
下図に示されるようなせん断力が作用するボルトに対し、赤丸で示される部分を拡大すると以下のような微小な変形が生じています。
せん断ひずみとは、このような変形によって生じる傾きγ(ガンマ)の値を意味します。
せん断ひずみの大きさは、せん断力の大きさや部品の材料の違いにより異なります。
材料の違いやせん断力の大きさに影響されないように、以下のような計算で数値化し比較します。
【補足】
|⊿L/L|が限りなく小さい値(0.001以下)の場合、|⊿L/L| = tan( γ ) = γ という関係が成り立ちます。
ねじり易さ、ねじり難さを表す値として横弾性係数があります。
この横弾性係数 (G) と、せん断応力 (τ) とせん断ひずみ (γ) の関係は以下のように表されます。
材料の断面積1000 (mm**2) の断面に沿ってせん断力40 (kN) を加えた時、
せん断ひずみ 8.9 × 10**-4が生じた。
この材料の横弾性係数を求めなさい。
はじめにせん断応力τを求める。
せん断応力 (τ) とせん断ひずみ (γ) から横弾性係数 (G)は以下のように求められる。
よって
※ 有効数字が2桁である。計算途中では有効数字3桁で処理していたが、結論は上位3桁目を四捨五入し2桁で表記した。
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