反力・回転モーメントの計算
1. 梁の問題を解くための仮定 (重要なポイント)
梁の問題には以下に示される三つの仮定が設けられています。
この仮定を逸脱するような場合、実験的な方法やシミュレーションによる弾塑性シミュレーションが必要になります。
多くの部品は梁の自重(部品自体の重さ)を考えない。
自重を無視した設計でも機械の性能に影響しないと考えている。
自重が無視できない場合には分布荷重(死荷重)として考える。曲げによる梁の軸方向の伸縮は小さいため、曲げの影響を考えない。
また梁の片側を平行移動可能な支持にする場合、軸方向の伸縮が曲げ応力に影響を与えないことを示している。固定支持は剛体支持で支点自体は変形しないと考える。
支持点が弾性変形するは問題は解析が難しいため、ここでは取り扱わない。
以上の仮定に基づいて拘束方法や荷重の作用の仕方に応じて梁のモデルが想定されており、
問題を解くための公式も準備されている。
2.梁に作用する反力と固定モーメントの計算
梁に作用する荷重と釣合う力を反力と呼び梁を支持する点に生じます。
荷重が一ヵ所に作用していても、この支持点が複数あれば各支持点に反力が生じます。
支持点が固定支持の場合、固定モーメントが発生します。
自由支持の場合、はりの回転を固定しないため回転モーメントは生じません。
以下の計算ルールと重ね合わせの原理から、梁に生じる反力と固定モーメントを計算します。
【計算ルール】
合力がゼロとなる
任意の点に関する力のモーメントの和がゼロとなる
【重ね合わせの原理】
弾性変形する範囲内では複数の荷重が同時に梁に作用する場合であっても、荷重毎に
反力や固定モーメントを求め、それぞれの結果を重ね合わせた(足し合わせた)結果に等しい。
【例題】集中荷重が作用するはりの反力を求めなさい。
1). 反力RA, RBを求めなさい。
合力がゼロになる(力の釣合い)から、以下のような力の釣合い式が得られる。
式 1). -----> P1 (荷重) = RA (端Aの反力) + RB (端Bの反力)
端Aの支持点に関する力のモーメントの和がゼロとなる
式 2). -----> P1 (荷重) × A (長さ) = L (全長) × RB (端Bの反力)
式 2) より RB (端Bの反力) = P1 (荷重) × A (長さ) / L (全長)
上記の結果を 式 1). に代入し、端Aの反力RAを求めると、
RA (端Aの反力) = P1 (荷重) - RB (端Bの反力) = P1 (荷重) × { 1 - A (長さ) / L (全長) }
= P1 (荷重) × ( L (全長) - A (長さ) ) / L (全長)
よって、反力は以下のようになります。
RA (端Aの反力) = P1 (荷重) × ( L (全長) - A (長さ) ) / L (全長)
RB (端Bの反力) = P1 (荷重) × A (長さ) / L (全長)
2). 全長 (L = 500 mm), 長さ (A = 300 mm), 荷重 (P1 = 300 N)の場合、
反力 RA, RBを求めよ。
反力 RA, RBを求めよ。
上記1). で求めた反力に設問の値を当てはめて計算する。
RA = 300 (N) × ( 500 (mm) - 300 (mm) ) / 500 (mm) = 120 (N)
RB = 300 (N) × 300 (mm) / 500 (mm) = 180 (N)
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