メタルジュエリー(Metal Jewelry)の開発 (商品化への道のり その3)

2017/08/29 3:09 に Teruhiko Hinaji が投稿
1. 熱による青熱脆性(せいねつぜいせい)

『チタンの陽極酸化処理のように美しく。』 とはいきませんが、
炭素鋼(SC材)やステンレス鋼(SUS材)でも美しい青を発色させることは出来ます。

鉄は切削条件により、切削加工時に発色した切粉が排出されます。
これは切粉に生成される酸化被膜によって発色するものであり、テンパリングカラーと呼ばれています。発色する色は様々で、切削時の刃先温度により酸化被膜の厚さが変化するため、発色する色も変化します。

この青色は青熱脆性(せいねつぜいせい)と呼ばれまずか、発色が確認されると材料強度の上昇と延性が低下するため、切削条件の見直しをはかる目安となっています。
このようなネガティブなイメージが先に立つため、このような現象を金属加工品の加飾に使うアイデアは、これまで出てくることは少なかったです。

今回、このテンパリングカラーを利用して宝石のカットを施した金属片を発色させ、メタルジュエリーを開発しようと思い付き、これまで経過について書いて来ました。


2. 金属片の設計と完成イメージ

青色だったので、

『金属がブルーサファイアのようになると面白そうだな。』

と考え、3次元CADを使ってサファイアカットの部品を設計しました。(右図を参照願います。)

あとは、市販のネクタイピンに飾りつけるだけで、商品イメージを掴むことができます。


これまで、その1で書いた通り、有限会社鈴精機(静岡県周智郡森町)様に加工をお願いし、サファイアカットの部品形状を加工して頂きました。



加工した部品を組み合せたネクタイピン

3. 熱処理による金属部品の加飾

今回、株式会社 中遠熱処理技研(静岡県掛川市)に相談し、ステンレスと炭素鋼の加飾について試作をお願いいたしました。

お話を伺っていると、いろいろと熱処理の可能性を試されており、工業的には利用されないようなことについても知見をお持ちでした。
それらの幅広い知見のなかから、当社の相談内容に合致する、様々なご提案を頂きました。

可能な範囲のなかで加飾の取く組みをお願いし、以下に示される写真の結果を頂きました。

熱処理条件については公開を控えさせていただきますが、鮮やかなテンパリングカラーが発色しております。
そこで、この青色を遠州碧(えんしゅうブルー)と呼ぶことにしました。
それは、静岡県西部を遠州と呼び、この遠州地方にある中小企業の技術力を結集して製作し、得られた青だからです。


遠州碧(えんしゅうブルー)に発色するメタルジュエリー


4. 三次元CADの完成イメージについて

図面の完成イメージ図を見て、この発色に近づけていただいたようです。
試作品の数も限られている中で、このような結果を出していただいたことに感謝しております。

余談になりますが、三次元CADによる効果は、二次元図面に完成イメージ図など立体的な画像を添付できることにあると思います。
三次元CADで立体的なデータを作成するだけでなく、このような活用もあるのかな、と思います。


5. お問い合わせ

開発中の試作品や、このような取り組みに興味や関心をお持ちでしたら、お問い合わせフォームからご連絡下さい。よろしくお願いいたします。

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