からくり仕事 (船舶設備の設計開発 - その2)

2016/09/11 8:19 に Teruhiko Hinaji が投稿   [ 2016/09/11 19:12 に更新しました ]
1. はじめに

前回、基本構造をフレーム構造にするか水密構造にするかの選択について話をしました。

軽量化を図りつつ、今回の負荷条件では有利になるフレーム構造を選択しました。

今回は、マイクロバスをピギ―バック式船舶に誘導するランプ装置の基本寸法の決定と当時の製造計画について書くことにします。


2.  車両仕様の調査

製品開発をやっていれば当たり前の話ですが、最初から具体的な形状寸法は決まっていません。
むしろ開発を請負う側が調査し開発仕様書と共に企画図として図面化を図ることが多いです。

この場合は、国内で製造・販売されているマイクロバスの車両形状について調査しました。
具体的な調査項目は車両の全長、幅、総重量(定員乗車、ガソリン満載時)、最低地上高などです。
そのほかにも、標準装備としてのタイヤの幅やトレッド幅(左右タイヤ接地面の中心間距離)を調べました。

一方、このピギーバック式船舶は離島間の車両輸送を目的としています。
作業用車両として軽自動車はよく使われています。
頂いた話の中に軽自動車の話は含まれていなかったのですが、念のため軽車両についても同様の調査をしました。

【資料公開に伴う注意】
以下に示す調査結果は、2013年10月当時に各自動車メーカーのホームページで公開されていた寸法です。現在は設計変更や製造完了に伴い該当する車両や寸法が異なることがあります。
利用する場合には、改めて各メーカーのサイトを確認すると同時に、利用に伴って生じた全てのトラブルについて、当店では責任を負いかねます。ご了承下さい。






















3. 作成した企画図

調査結果からランプ装置の基本寸法をまとめ、下図のように企画図を作成しました。
この時点で昇降装置は考えていません。
油圧装置の得意な事業者と連携して設計することになっており、企画図には含まれていません。


また、ランプ装置上を走行するマイクロバスの走行軌跡などから、桁材(長手方向に配置する部材)の配置を考えました。
しかし、ランプ装置のねじり変形(せん断変形)を受持つ部材はありません。

イクロバスが走行するとタイヤからの車両重量が加振力となります。そのため、ランプ装置自体に自励振動が生じ、ねじりの1次振動が比較的低い周波数になることが予測されます。

正直な話、この時点でランプ装置は構造的に成立していませんでした。ランプ装置のおおよその重量を算定するためのものでした。


4. 製造方法について

この時点で製造を担当していたのは、個人で非鉄金属を中心に製缶加工をしている事業者でした。
溶接作業で使う定盤のサイズはおおよそ1500mm×1500mm四方で、工場内のホイストも0.5tonでした。

製造現場を見て、事業者さんと話をさせてもらった感じでは、小さなユニットを複数製造し、造船所でユニットを組立ながら実装することが確実のように思えました。

そこで企画図では小さなユニットを製造し、造船所で組立てるような構造にしました。
同時に組立作業の要員が確保できないこともわかっていました。
自分も自動車組立ラインの装置を組立て、施工する仕事もしていたので、その経験から製缶加工の事業者と二人で組立てられるものにしました。

この後も、製造と実装で問題が続きます。


5. おわりに
 
最近では、『企画図(提案図)や見積図は無料』をうたい文句にされている事業者もあります。
うまく図面製作費用を製品の販売価格に転嫁しているわけですが、今回のように一個しか製造しない製品は図面作成にかかる費用が全て転嫁されます。そのため極端に製造価格は高くなります。

このような調査も必要なため、見積図についても無償で提供するわけにもいきません。

また『製作費用が高い』ことを理由に、開発依頼や製造コストの見積を依頼を受けることがあります。
しかし、他の事業所に依頼することはゼロからの開発に戻ってしまうため、図面作成費用など新たな出費も加わります、結果として現状よりも支出が発生することもあります。

商品開発についてお困りのことがあれば、お問い合わせフォームからご相談内容をお寄せ下さい。
開発の進め方や費用の抑え方、資金繰りなど些細な事でも相談に応じます。

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