からくり仕事 (材料強度判定基準)

2016/08/03 22:09 に Teruhiko Hinaji が投稿   [ 2016/08/28 21:11 に更新しました ]
1. はじめに

破断した部材の強度検討を行うと、お客様から必ず指摘されることがあります。
それは、部材の強度基準。
以下のことを指摘されます。

    部材強度の『OK』と『NG』を判断する数値には、法律(国家行政)や条例(地方自治体)などの根拠はありますか?
    できれば、根拠を示してください。

本来でしたら開発する側が製品の要件として考えるべき項目なのです。
しかしお客様から見ると、『強度計算のプロフェッショナルなら、何らかの根拠を持って評価結果を報告してくれる。』と思われるようです。
今回は材料強度判定基準について、いろいろとお話させて頂きたいと思います。


2. 大学では材料の強度特性を教えている

企業内で製品開発や製造設備開発にかかわる技術者の多くは、大学なら工学部、高校なら工業高校のご出身だと思います。
材料強度に関する授業は『材料力学』や『破壊力学』などの授業がそれに相当します。

その中で材料の引張試験の話があり、指定された形状の試験片を引張ったときの変化について講義や授業が展開されます。
代表的な引張試験の結果は、以下のような線図になります。

この図を使い、材料の引張特性として以下の言葉を説明します。
  • 降伏応力(降伏荷重)   永久変形(塑性変形)を始める応力(荷重)
  • 引張強さ          引張応力(引張荷重)が最大となった時の値(破断時の荷重ではない)


このように材料の引張特性を説明しているだけです。
強度判定については、以下の説明が加えられます。
  • 設計する部品の用途や使い方から降伏応力(降伏荷重)や引張強度を指標として安全率などを加味しながら決めて欲しい。
開発や設計業務で直面する強度判定基準は学問とは言い難いので、当たり前のことだと思います。


3. 製品開発の現場では製品全体での保証を考える

製品開発の現場から見ると、販売した製品がお客様に正しく使って頂けることを前提に強度などの試験を行います。
必要な場合には、個々の部品強度なども決めたりします。

コンピュータ化が進む前は、試作品などの破壊試験などを通じて製品の強度確認をしてきました。
製作したものを実際に壊すことで『OK』と『NG』の判定が容易にできました。

しかしコンピュータ化が進み部品毎に強度シミュレーションが可能になると、素材の引張特性に対する理解が必要になります。
これまでは製品状態の破壊試験でしたので、個々の部品ごとに強度判定が準備できておらず冒頭のような依頼となってしまうわけです。

当店では『建築基準法』に抵触しない範囲で、建築物に設置される設備の強度計算をしております。
それらの業務のうち『建築基準法施行令』で指示される荷重条件や強度要件などを使って計算します。

使い方によっては機械設備に使えるものもあるため、冒頭の指摘があった場合に以下の法令を利用させて頂いております。
  • 建築基準法施行令 第90条1(許容応力度)
  • 建築基準法施行令 第96条(材料強度).
  • 平成12年建設省告示 第2464号 鋼材等及び溶接部の許容応力度並びに材料強度の基準強度を定める件

特に、建築基準法施行令の中で言われる『基準強度』の値は、『建設大臣が定める値』として下図のように示されております。
お客さまには、このような資料をお見せして納得していただき計算書を納品しております。




4. 最後に

最近、太陽光発電パネルの設置工事現場をよく見ます。
実は、太陽光パネルについても建築基準法施行令を基本とした以下のJIS規格が制定されております。
お気づきの点があれば、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。
  • JIS C 8955 : 2011 太陽電池アレイ用支持物設計標準


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