からくり道具の紹介

2017/02/02 7:00 に Teruhiko Hinaji が投稿
国内にある多くの支援機関では事業の付加価値を高めるセミナーが開催されます。
セミナーでは独自技術による商品開発を促されデザイナーとのマッチングを勧められます。
一方、自社開発を選択し開発する環境を整えようとした場合、困ることも多いと思います。
今回は『からくり道具の紹介』と題し、当店の商品開発の環境と道具についてご紹介いたします。
1. デザイン・機械設計(3次元CAD)

当店では2つの三次元CADを、開発する商品の加工法や形状などに応じて使い分けています。CAD相互のデータ授受はSTEP形式で行っております。
  • GeomagicDesign
    平面や半径が一定の曲面などで構成された形状部品の設計に利用
    (用度 : 主に汎用フライスや汎用旋盤などで加工される機械部品)


    三次元スキャナーで得られた点群データからCADデータが作成できる
    数少ない三次元CAD
    です。

  • Rhinocerose
    半径が変化する曲面(自由曲面)などで構成された形状部品の設計に利用
    最近は、Grasshopperの利用についても、様々な検討を行っております。
    (用途 : 主に多軸の複合加工機などで加工される意匠部品)

    NURBS曲面の作成を得意とする三次元CADで、多くのデザイナーに支持され利用されています。

2. 社内情報の一元管理

利用していたNASの更新時期に、改めて電子データの保管に関するリスクを洗い直してみました。以下のリスクに対し、費用と労力の負担が少ないクラウドストレージを選択しております
  • 費用リスク
    装置の利用可能期間(寿命)に投資する費用として導入費用と利用期間に要する保守サポート費用を検討しました。具体的には1年当たりの経費を
    出し比較しております。
  • 装置の故障リスク
    装置の故障によって生じる不稼働時間について比較検討を行いました。また、オンサイト修理(部品交換)、引取り修理、買替えなど、故障の程度に応じた電子データへの影響も検討しております。
  • データの消失リスク
    データ消失の原因には前述した装置故障に伴うものと人為的なものがあります。どちらの場合にもバックアップなどで回避できることが多いため、電子データのバックアップ方法に重点を置きました。
  • 災害等によるロケーション・リスク
    バックアップを含むすべてのデータが事業所にまとめて保管されている場合、
    地震や津波などの発生によって、すべてのデータが同時に失われてしまいます。遠隔地へのバックアップ・データ保管などロケーション・リスクを低減を検討しました。

3. 設計検討(シミュレーション)

三次元CADで設計したデータについては、必要に応じて有限要素法(FEMシミュレーション)にLISAを使い強度・剛性検討を行っております。また、制御系(機構や動作)のシミュレーションにMATLAB/SimulinkやSCILAB/XCOSを利用しております。

4. 取引先(仕様情報共有化)

当店の取引先の多くはSOLIDWORKS™ (3次元CAD)を利用しています。
三次元CADデータの授受はSTEP形式やParasolid形式で行っております。
その結果、デザインから設計、部品加工、組立、製品のパッケージ(荷姿)まで三次元CADデータで貫徹しております。


5. 3次元スキャナー

精度が要求されないような部品のデジタル化にMakerbotのDEGITIZERを利用しております。三次元スキャナーで得られた点群データは、GeomagicDesignを使いCADデータを作成しRhinoceroseで意匠面として調整しています。
また精度が必要な部品については、取引先に依頼しております。

なお、2017年1月末時点において、MakerbotのDEGITIZERは製品リストから外されております。


6. デジタル造形

作成した三次元データの成立性確認にMakerbotの3DプリンターやRoland D.G.の卓上モデリング加工機を利用しています。また画面に表示されるデータでは分からない感触や部品の大きさなど感覚的な部分の確認にも使っています。

店内で簡易的な試作を行っているので、初期設計の段階で加工しやすい形状を考えます。そのため、やり直し作業も少なくなり取引先との打合せも円滑に進むことが多いです。


7. アナログ造形

丸モノ部品にも対応できるように、卓上の汎用精密旋盤を使っております。
特に、全日本製造業コマ大戦にもスポットで参戦しており、コマ製作にも利用しております。


8. デジタルエンジニアリング環境

『1人でもできるローコスト・ハイパフォーマンスなデジタルエンジニアリング』を意識し下図に示されるようなデジタルエンジニアリング環境を構築してきました。
冒頭にも書かせていただきましたが、自社開発を始めるときに必要な道具や環境などの参考にしていただければと思います。


9. まとめ

開発環境の構築でお悩みの場合には、ぜひご相談ください。
ご相談いただいた事業者の中には二次元CADでも大丈夫な場合もあり、三次元CADを使わないシステム構成をお伝えしたこともあります。

詳細については、こちらのお問い合わせフォームからご連絡下さい。
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