富士山焼き(お好み焼き)の焼型開発について

2018/02/24 1:29 に Teruhiko Hinaji が投稿
1. はじめに

桜エビの不漁により販売が中止されていた富士山焼きが、2018年3月頃から復活します。富士山焼きとは、愛知県と静岡県の県境にある国道1号線の道の駅で営業している『浜名湖屋』が開発したお好み焼きです。
以下の写真に示されるようなお好み焼きです。



この富士山焼きの焼型は(株)応用技術研究所(刃金からくり屋)で開発しました。
今回は、この開発内容を紹介します。


2. 開発の経緯と課題

(開発の経緯)
道の駅に寄って浜名湖屋で商品を購入したときに、お好み焼きの焼型で困っている話を聴きました。

話の中で自作された焼型と、その焼型で焼いたサンプル品(冷凍品)を見せていただきました。見せていただいたサンプル品は山の形をしておりましたが、富士山を連想させる稜線のくびれが表現できず、インパクトに乏しいものでした。

しかし面白そうな話でしたので、当社で開発することにしました。

(開発の課題)
設計するにあたり浜名湖屋さんから伺った話を振返りつつ、開発した焼型で提供される商品イメージを描いてみました。
上記の写真は、当時のデザインスケッチになります。

『パッケージの中に富士山が見える。』

そんなコンセプトに沿うように焼型を設計、開発を進めることにしました。
この焼型開発の課題として、以下の二つが挙げられます。
    • 焼き上げた商品がパッケージに隙間なく入るサイズであること
    • 小麦粉の生地を半分に折りたたんで具材を包むときのマチの大きさ
焼き上がり時の大きさについては、パッケージ内側の寸法を測れば決まります。
課題は具材を包んだときに必要なマチの大きさでした。


3. マチの大きさ

そもそも、お好み焼きは円形に焼いた小麦粉の生地を半分に折りたたみ、具材を包みます。生地を円形に焼くので、マチの大きさを気にすることはありません。

コンセプトのような商品にするためには、富士山焼きの焼型で、次の二つを成立させる必要があります。
  • 生地を折りたたんだとき、ほど良い量の具材が包み込めること
  • パッケージに入れたとき、稜線の裾野が目立たないようなマチの大きさにすること
まず、『ほど良い具材の量』という感覚的なものを、設計で利用できる尺度に置き換えることから始まりました。
具体的な尺度を申し上げることは出来ませんが、その尺度を元にマチの大きさについて設計的に設定できるものにしていきました。

そのような結果を踏まえ下図のような焼型を設計しました。
製作は地元の企業にお願いし、完成した焼型を浜名湖屋に使ってもらい評価していただきました。


冗談でお話するのですが、(株)応用技術研究所(刃金からくり屋)は具材の量に合わせてお好み焼きのマチの大きさを設計できるようにした、日本で最初の企業だと思います
(右上に続く)
(右下からの続き)

4. 焼型完成にむけて

使っていただいて、次の評価をいただきました。
  • 試作の焼型で焼いた商品は富士山焼きのイメージ通りなので、焼型の形状はOK。
  • ホットプレートの間近に焼型の取手があり、生地を焼いている間に熱くなって持てなくなる。

以上の評価を元に焼型の完成に向けて、脱着式の取手に改造しました。

なお最終的な製品図については、寸法を除いたものも含め、お見せすることは出来ません。道の駅にある『浜名湖屋』で、富士山焼きをご注文下さったときに、見ていただけるものと思います。
ぜひとも、ご注文いただければと思います。


5. 焼型の開発体制

富士山焼きの焼型は以下のような体制で開発いたしました。


6. 反省点

開発費の捻出について配慮ができなかったことが挙げられます。
具体的には、国の持続化補助金のようなものや、静岡県あるいは、地元の湖西市が募集する研究開発補助金のような制度利用による開発費用の自己負担軽減です。

やはり製品開発は、予想できない紆余曲折があり、費用も雪だるまのように増えていきます。補助金事業として採択をいただけるような内容を提案し、補助金政策を活用して開発費の自己負担を軽くしていただくことも、必要だったと反省しております。

この開発の反省をきっかけとして、(株)応用技術研究所(刃金からくり屋)としても補助金制度を利用した製品開発に取組み、補助金制度について様々な勉強をいたしました。


7. おわりに

(株)応用技術研究所(刃金からくり屋)では、3次元データを駆使するデジタル技術により、多様な業種の製品開発における課題解決に向け、様々な事業者と連携しながら開発支援事業に取組んでおります。

現在、このような取組みを評価していただき、いろいろな課題について、国内の企業様よりご相談を受けております。
また韓国企業での技術支援におきましても、このような取組みが高く評価され、記述支援契約の更新にもつながりました。




このような開発事例にかかわらず、気になることがありましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせ下さい。
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