船舶設備の開発・設計

2018/03/10 21:00 に Teruhiko Hinaji が投稿
1. はじめに

商工会の職員の方から紹介され、船舶の設備設計に関わることになりました。
当初は、構造設計のみの話でしたが、結局、駆動系と制御設計も任された仕事になりました。
業務内容の紹介として、船舶設備の開発・設計内容を紹介いたします。
開発プロジェクトの名称は『ピギーバック式旅客船のランプウェイおよびゲートの開発』です。



2. 開発の背景

現在、高速道路網の整備が進み、離島部をつなぐ交通機関の衰退が著しく顕著になってきました。そこで、離島航路の利便性確保と活性化を図るため、バスに乗客が乗ったまま乗船することが可能なピギーバック式旅客船が提案されています。しかし、現在の日本の法律では、バスに乗客がのったまま乗船する船の就航は認められていません。
今回、法律改正を目的とすることから、法律の適用除外となる特例をいただき、ピギーバック式旅客船を建造して社会実験を行なうことになりました。

当社の役割は、提案されているピギーバック式旅客船の設備としてバスが円滑に乗り込むためのランプウェイおよびランプゲートを開発です。


3. 開発の進め方

対象車両は日野自動車様のポンチョで、ハイブリッド仕様車でした。
一方、想定する離島部の交通は軽自動車も想定されるべきでしたので、軽自動車のトレッド(左右車輪館の幅)や最低地上高などを考慮して設備の基本寸法を決めて行きました。
続いて、基本構造を決めるため、車両重量が負荷する位置を変えながら以下のような最大モーメント線図を作成しました。
材料降伏に至る曲げモーメント以下となるように鋼材サイズを選定しました。



最終的に、基本構造を組み合わせ、基本寸法に収まるように設計した設備が以下の図になります。


設計には三次元CADを用いました。
三次元CADを使う理由は、組立作業時の問題点をデータ作成時に発見するためです。特に、ピンなどを挿入するときに必要な逃がし用の空間や、溶接作業に必要な空間の検討などに使いました。

一般的に言われている、『図面のわかりやすさ』ではなく、『製造時におけるやり直し作業をデータの時点でゼロにする』ための作業が中心になります。そのため、設計作業は、コンピュータ内でのデータの組立作業となり、その時点で手間がかかる作業は実際の現場でも苦労するところになります。おかげさまで、製造時点でのやり直し作業はゼロ。現場の担当者様からは、『図面通りにできて楽だったよ』とお褒めの言葉をいただきました。

なお、ここでは三次元CADの画面画像を掲載しておりますが、実際には各部品を二次元の部品図に展開し紙に印刷しております。このような設備の場合、二次元CADの図面を見ないと部品製作ができません。これは三次元CADのメリットが少ない事例です。



4. 制御系の設計

お話をいただいた当初は、橋梁部分の構造設計だけでしたが、担当できる技術者が見つからないとのことで、受け持つことになりました。内容としては、車両通過時に作用する重量をもとに油圧シリンダーを選定と船舶とリンク結合する位置などを設計しました。


5. 製造

以下の写真のように、製造を行ないました。
こちらは、協力していただいた製缶メーカーでの様子です。当初は、別の溶接屋さんにお願いしていたのですが、途中で手を挙げてしまい、困っていたところ協力してくださいました。
当初は、かなり狭いところでしたので、分割して製作し現地で組み立てることを考えておりました。
こちらのメーカーでは、かなり広く場所を確保できることから、一体モノで製作できるように設計を変更しました。

当社は、製作メーカーの得意な部分を活かす設計を心がけております。
製作メーカーが3回にわたり変わってしまったので、それに合わせて設計変更を行ないました。




6. お問い合わせ先

製品開発や設備設計でお困りでしたら、問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。


株式会社 応用技術研究所 (刃金からくり屋)
代表取締役 日名地輝彦(ひなぢ てるひこ) 技術士(機械)
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